90sJPOP文化論

~90年代に10代だったオトナたちへ 90年代にヒットした曲を具体的に取り上げながら、音楽的側面と言うよりもむしろ、時代・文化的な側面から雑考するブログです。

【#018 Over Drive / JUDY AND MARY (95年)】 〜アンバランスな魅力とガールポップ

92年にデビューし、2ndアルバム「ORANGE SUNSHINE」のスマッシュヒットで
メジャーシーンに躍り出たJUDY AND MARY7枚目のシングル。初のオリコンチャートTOP10入りを果たした。
この曲が、当時の10代にどのように映ったのかを考察してみたい。

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<軽音楽部の理想イメージ

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ちょっとワルくてちょっと健全。
ちょっとパンクでちょっとロック。
そして、どこまでもポップ。

当時中学生だった世代にとって、
JUDY AND MARYは、
存在そのものがファッションアイコンだった。

 

走るー 雲のー 影をー

飛び越えるわ

夏のにおい追いかけて

 

blog.naver.com

 

無骨な白いつなぎの中に見えるヒョウ柄の水着。
そして時折見せるサングラスやヘルメット姿。

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中学生の勝手な想像だが、
専門学校の文化祭前のような楽しさや、
男女仲良い軽音楽部の理想イメージが、
MVの中から圧倒的なエネルギーで迫ってくる。

 

そして、その中心にいるのがボーカルYUKIだ。

 

ボーイッシュさと少女性のアンバランスが見せる、
ちょっと悪戯好きでやんちゃな気まぐれ感。

 

オタサーの姫的存在の上位互換を
数億回繰り返してもたどり着かないであろうと思えるくらいに、
バンドの中で、紅一点のボーカルは
どこまでも自由闊達で、歌手の域を超えてチャーミングだった。(今でもですけど)

 

 


余談だが、筆者がJUDY AND MARYを知ったのは、
Over Driveの1枚前のシングルに収録されている自転車が
明治製菓「ポイフル」のCMに使われていたからだ。

www.youtube.com


ここから25年・・・いやはや、ブレない。

 

   

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 <GIRL POPの系譜>

 

車のCM曲で、夏を感じる伸びやかな印象だが、
ところどころに、不安定さが見え隠れする。

 

夜に墜ちたらここにおいで…

 

あなたはいつも
泣いてるように笑ってた
迷いの中で傷つきやすくて

 

愛しい日々も恋も優しい歌も
泡のように消えてくけど

 

 

全体を通じても、

こちらを向いて微笑んだかと思いきや、
次の瞬間には不機嫌に顔を逸らしているような歌詞。
そのアンバランスさこそが最大の魅力だろう。
(グロかわいいという言葉がある時期流行ったが、
 JUDY AND MARYのかわいいの中には毒を孕んでいるようなところがある。)

 

そしてそんな歌詞に魅力を与えるYUKIのボーカル。
少し舌ったらずで甘えた印象を受ける声質。
普通の人だとキンキンしそうなのに、心地よく抜ける高音。

 

「かわいいこと」は前提にありながら、
決して媚びを売るのではなく、
自由気ままに振る舞う「少女(=ガール)」としての魅力がギュッと詰まっている。

 

シンディーローパーに端を発し、
NOKKOを経由して
のちにHysteric Blueへと脈々と受け継がれていくガールポップ

 

ただ女性が歌うだけという意味でなく、
女性の生き方・振る舞いを全面に押し出した魅力。

 

JUDY AND MARYは、
まさにその流れのど真ん中で、
日本におけるガールポップの地位を確立させた存在かもしれない。

 

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 <バンド解散と、終わらないもの

 

今でも、復活してほしいバンドの筆頭にあがるJAM.

 

OverDrive以降、ヒットチャートの常連となりながらも、
98年に充電期間に入り、
2000に活動を再開するものの1年と経たずに解散を発表。


トップアーティストの解散は衝撃だったが、
同時に男女仲良い軽音楽部の理想イメージの世界には終わりがあることの象徴でもあった。

 

その一方で、「ガール」に終わりはない。

 

YUKIはその後一時的に幾つかのバンドで楽曲をリリースしたのち、
2002年にthe end of shiteでソロデビュー。

 

そのキャリアはもう18年目に突入することになる。
永遠に続くかのように思えたJUDY AND MARYが10年、
しかも実質後半2年はあまり活動していないことを考えると、
もうJAMの倍の期間ということになる。

今年47歳を迎えるのに、
日本のガールポップを支えるYUKIの、
劣化知らずの「ガール」としての魅力は、まだまだ続くのだ。

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