月9果汁100%とソロデビュー
【#041 TRUE LOVE / 藤井フミヤ (93年)】 の考察
藤井フミヤのソロデビューシングルにして、ダブルミリオンを記録した自身最大のヒット曲。
ドラマ「あすなろ白書」の主題歌であった。
この曲が、当時の10代にどのように映ったのかを考察してみたい。
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<月9果汁100%とソロデビュー>
月9史上歴代5位の平均視聴率を誇る「あすなろ白書」
「オレじゃダメか?」のあすなろ抱き(取手くん抱っこ)。
「あしたの会じゃないよ。あすなろ会だよ」に象徴される名台詞。
柴門ふみ原作×北川悦吏子の脚本という黄金比。
ベスパに乗るキムタクやポルシェに乗る御曹司を演じる西島秀俊。
いつ勉強しているんだろうという学生たちのおしゃれなキャンパスライフ。
恋愛模様を中心に友情や仲間の死、同性愛、妊娠…。
どこをどう切っても月9果汁100%の原液ダダ漏れの青春群像劇。
そんな月9果汁をさらに濃縮させて世に送り出すのがこの曲、
藤井フミヤの「TRUE LOVE」である。
チェッカーズ解散から、約一年。
はじめて自身で作曲を手がけたというこの曲は、
大編成のバンドサウンドから一転、アコースティックギター主体のシンプルなサウンドだった。
「知ってるコードだけで作った」*1ために
メリハリが弱く売れる自信も全くなかったというが、
ドラマとの相乗効果もあり結果として大ヒット。
ソロアーティスト、藤井フミヤの地位を確立した。
シンプルな音だからこそ
フミヤの幼さの残る伸びやかなボーカルと
切なく過去を振り返りながらも未来を思うような感情がダイレクトに伝わり、
歴史的に色褪せない名曲として後世に残ることになったのだ。
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<どこにもアウェーでどこでも特別>
「TRUE LOVE」から遡ること1年。
チェッカーズ解散のニュースが駆け巡った。
チェッカーズといえば女子ウケのイメージだが、
小さな頃から知っていて
(ローラースケートを履いていた踊っていた人たちよりも先にいて)
とんねるずにスリッパで叩かれたり逆に叩いたりしていた姿を見たりもしながら、
節目節目でいい曲をきちんと送り出していた人たちの解散は
私や周囲の友人にとってもそれなりにショックだったのを覚えている。
一般的に、
アーティストがいろいろやると音楽への評価は下がりやすい。
話せて笑いもできるアーティストよりは、
不器用に音楽しかできないと言った方が、印象がいいのがセオリーだろう。
しかしチェッカーズはその枠には収まらない。
むしろ、
アイドル「なのに」、作詞作曲編曲を含めきちんと音楽している。
アーティスト「なのに」、笑いも喋りも(時には芝居)もする。
アイドル「なのに」、やんちゃで不良な部分も見せるし下ネタもいける。
。
(NHKでは放送禁止になったそうです)
アーティスト「なのに」、アイドル「なのに」を行き来して
どちらにおいてもアウェーな立ち位置をとりながら、
どこの世界でも特別な存在であり続けた。
解散後、ソロデビューをしても、CGアーティストをしても、
多才という言葉が逆に安っぽくなってしまうほどに、
「藤井フミヤ」は「藤井フミヤ」というワンアンドオンリーな存在なのだ。
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<還暦間近にして広がる活動領域>
元・アイドルグループのボーカルも、いまでは57歳。
と、書くと今ではすっかりおじさんみたいな印象になりそうだが、
藤井フミヤの場合はそうはいかない。
今年8月には代官山にて個展を開催。
100点に及ぶ作品を展示した。*2
さらに、迫る2020年には、
ポップスとクラシックを融合したオーケストラ公演を開催するなど、*3
見た目のカッコつき方も、
少し幼い印象の声質もそのままに、
むしろ活動領域をどんどん広げていっているような気がする。
高校を入学3日で無期停学になった男が、
アートやクラシックへと触手を伸ばしていくのだから、
人生は面白い。
きっと、どんなアウェーな世界でも、またそこで特別の輝きを見せてくれるのだろう。
。